緑台に残る大きな建物は、かつての「コナミスポーツクラブ川西緑台」とみられます。跡地については、川西市が2026年10月5日更新の公式ページで、長年建物が残る状況への懸念と、民間所有の施設を市が主導して活用する難しさを説明しています。以前の施設の記録と、市が公表した回答をたどります。
もともとは何があった?緑台7丁目のスポーツクラブ
日本フィットネス産業協会の「震災遺児・孤児向けスポーツ支援キャンペーン実施クラブ」には、「コナミスポーツクラブ川西緑台」が川西市緑台7丁目8-9の施設として掲載されています。業界団体の記録から、この場所にスポーツクラブがあったことを確認できます。
市の跡地に関するページでは、コナミスポーツと「エグザス」の名前が併記されています。「エグザスだった場所」と覚えている方にとっても、以前の施設をたどる手掛かりになります。ただし、このページだけでは開業年や名称が変わった時期までは分かりません。
営業当時の記録は、施設内で業務を受託していた会社にも残っています。ホリスティックスペースの公式沿革には、1998年10月に川西緑台店で業務を受託した記載があります。同社は、スポーツクラブ内へのコンディショニングルーム導入を事業拡大の目的として説明しています。
これは1990年代の施設の活動をたどる資料ですが、1998年を建物の完成年やクラブの開業年とすることはできません。また、受託会社の沿革にある閉鎖の注記を、スポーツクラブ全体の閉店日と取り違えないよう注意が必要です。
緑台の街と一緒に、施設の歴史をたどる
周辺の多田グリーンハイツは、住宅地としての長い歴史を持っています。自治会の公式年表によると、1966年に宅地開発と売り出しが始まり、1967年に緑台への入居が始まりました。1970年には向陽台、1972年には水明台への入居が始まっています。
1973年には人口1万人突破を記念する「一万人祭」が開かれました。現在の建物だけを眺めると用途が分かりにくくても、住宅地の広がりと、そこにあった民間スポーツ施設の記録を重ねると、地域の暮らしの変化として読むことができます。
ただし、住宅地の開発年と、この建物が建った年は別です。開発当初からこの施設があったことや、造成前の土地の用途は、今回確認した資料では確定できていません。
なぜ閉店した?理由はまだ確かめられていない
営業していたことを示す資料と、跡地についての市の回答は見つかりました。一方で、旧運営会社による閉店理由の発表は、今回の調査では確認できていません。
古い施設だから老朽化が原因だった、利用者が減ったから閉店した、と考えたくなるかもしれません。しかし、外観や周辺の人口の変化だけで、個別の店舗が閉店した理由を決めることはできません。経営判断、建物の状態、契約の事情などを結び付けるには、その施設についての説明が必要です。
正確な閉店年月日と閉店理由は、当時の公式告知や運営会社の説明で裏付けを取れていません。そのため、この記事では断定していません。
なぜ今も残る?市が示した「民間所有」という事情
跡地についての市の回答は、2026年2月2日に受け付けた市民の提案に対するものです。ページの更新日は同年10月5日で、提案の受付日とは異なります。
市は、建物が長年残る状況を懸念する一方、所有者が民間事業者等であるため、市が先頭に立って施設の立地を進めることは難しい、と説明しています。民間企業等から活用の提案があれば、適切に対応するという姿勢も示しています。
この回答から分かるのは、市有の施設として市が自由に次の用途を決められる場所ではない、という点です。ただし、所有者が建物を解体していない理由や、再利用に向けた交渉の有無までは明らかにされていません。
「市が主導しにくい理由」と「所有者が建物を残している理由」は別の問いです。解体費用や売却事情などを、この物件の事情として断定する根拠は、今回確認した公開資料にはありません。
スーパー銭湯になる?公式ページの提案と計画は別
市民の提案は、旧コナミスポーツの跡地をスーパー銭湯などの温浴施設として活用できないか、という内容です。市の公式ページに載っていますが、出店する事業者の発表や、市が決定した整備計画ではありません。
市の回答にも、温浴施設の開業日や事業者名は示されていません。この資料を根拠に「スーパー銭湯ができる」「再開発が決まった」と伝えることはできません。
今後の動きを判断するには、所有者や事業者による正式な発表と、市の公表情報を確認する必要があります。以前の予定を示す看板が残っていたとしても、それだけで現在有効な計画とは判断できません。
建物の外観から分かること、分からないこと
アイキャッチは、利用許諾のある参考写真をもとに建物の外観をイラスト化したものです。白い外壁、大きな窓、丸みのある屋根が印象的ですが、参考写真の撮影時期は確認できておらず、2026年現在の現地状況を示す画像ではありません。
外から見える様子だけでは、建物内部の状態、日々の管理状況、解体や再利用の予定は分かりません。「廃墟」という呼び方だけで、所有者がいない場所や自由に入れる場所と考えないことも大切です。敷地や建物への無断立ち入りは避けてください。
この場所の歴史をさらに明らかにするには、開業時の案内、閉店の公式告知、建物の記録、所有者による今後の方針の確認が必要です。現在確認できる市の回答は、跡地の活用を考えるための出発点になります。
最後に、かわにしNavi運営者の小さな願い
個人的には、いつかこの場所を買い取って、街の人たちが気軽に集まれる複合施設をつくれたらいいな、という思いがあります。まだ具体的な計画ではありませんが、地域の方と「ここに何があったらうれしい?」と話せる場所になったら素敵ですね。
出典・公式情報
日本フィットネス産業協会:過去の支援キャンペーン参加施設の記録を見る
情報確認日:2026年10月15日。業界団体や受託会社の記録は過去の施設をたどる資料であり、現在の営業案内ではありません。現地訪問・運営会社や所有者への取材は実施していません。




